今日は、東京の赤坂に行き、日本CSR普及協会の
「環境事故が起きた際の企業の危機管理 ~土壌汚染・不法投棄の具体的事例に基づく実践的なシュミレーション~」と題する研修会に参加してきました。
日本CSR普及協会の研修会は、企業のコンプライアンスに関する研修で、島根ではなかなか聴けない話が多く聴けるので、足繁く通わせていただいております。
今日の研修は、土壌汚染や不法投棄などの環境事故が起きた場合の企業の対応についての研修でした。
研修では、土壌汚染対策法についての一般的な説明を経て、具体的な事例においてどのような対応をとるべきかについてパネルディスカッションが行われました。
①ある企業が、工場増設のため対象地の土壌を自主調査したところ、行政への報告義務がない程度のヒ素が検出された。企業としては工事のスケジュールを延期することはできず、どうしたらよいのか。工事をそのまま続行すべきなのか、それとも工事を中止して追加調査すべきなのか、また、世間には情報を公表すべきなのか。
②汚染は軽微であると判断し、追加調査を実施せず、そのまま工事を完了までこぎ着けたところ、ある新聞に土壌汚染のことが記事として掲載されてしまった。企業としては、この程度の汚染であれば法律上は行政への報告義務はなく法律違反はないが、住民をはじめ世間では騒ぎになっており、企業としてはどうすればよいのか。
③企業が地下水のモニタリング調査を継続して実施したところ、地下水からヒ素が検出され、さらに農業用水からも基準値未満のヒ素が検出された。
このような事例について、それぞれの段階ごとにディスカッションがなされました。
我々弁護士としては、「法律上どうなのか、法律に違反していないのか。裁判で勝てるのか。」ということに目が奪われがちですが、世間の目はそういうものではありません。企業としても、弁護士に相談する場合、法律上のアドバイスは当然ききたいところですが、それに加えて、この危機をいかに乗り切るのか、何もなかったかのようにこれまで通り事業を継続するためにはどうしたらよいのか、そこの部分に焦点がある訳です。我々弁護士は、法律がどうこうと説明するだけではなく、企業がどうやって危機を乗り越えていくのか、一緒になって対応すべきなのです。
今日の研修会では、その際の具体的なスキルや心の持ちようについてとても勉強になるお話を聴かせていただきました。今日の研修を日々の業務に活かしていきたいと思います。