事業承継について講演しました

 本日は日本ファイナンシャルプランナーズ(FP)協会島根県支部の研修会において、「中小企業における事業承継」と題して講演をしました。
 FP協会においては、昨年7月に「相続の基礎知識」について講演をしましたので、今回は約半年ぶりにお話をさせていただきました。
 
 今回のお題は、「事業承継」でした。
事業承継の推進は、国策でもありまして、経営承継円滑化法の制定など色々な施策がなされております。しかし、その割には、企業の現場ではそこまで盛り上がっていないのが現実です。
 事業承継の中心は、現経営者の所有する株式を分散させずに、いかに後継者に集中して承継させるのか、また集中させたとしても残された者の間で争いにならないようにいかに配慮できるのか、さらに納税資金などをいかにして調達し、また節税するのかというあたりです。しかしながら、そのようなことに配慮して事業を承継させる必要があるのは、いわゆる儲かっている会社においてのことです。

 儲かっていない会社、例えば実質債務超過の会社においては、株価はゼロになるので、株価を引き下げて相続税や贈与税を安くしたり、生前贈与や遺言書を作成して後継者に株式を引き継がせる際に、遺留分に配慮する必要がなくなってくる訳です。そのような財務体質のよくない会社における事業承継というのは、事業再生と隣合わせで、現経営者が経営責任を取って次の者に社長を交代し、新しい社長の下で経営の立て直しを図ることになります。そこでは、株価対策などほぼ関係なく、焦点は、いかにして財務内容を改善するか、資金繰りをいかにして改善するのかという点になります。そのために銀行と今後の支払いやニューマネーの交渉したり、根本的に財務体質を改善するために、収益性のある事業と収益性のない事業の峻別、さらに場合によっては収益性のある事業の創造など、やることが儲かっている会社とは全く違います。

 昨今の不景気で、経営状態が悪化している会社が増えている関係上、特に地方においては、いわゆる事業承継の範疇にあてはまる会社は急激に減ってきております。むしろ財務体質の改善に主眼が置かれた事業承継を目にする機会が増えているように感じます。
 もちろんここ島根においても、私は、いわゆる事業承継の範疇に当てはまる会社のお手伝いをさせていただいたこともございますが、不景気を反映してか、やはり財務内容の改善に主眼が置かれた事業承継を担当させていただくことが増えております。
 
 どちらの事業承継も、社会にとっては大変意義のあるものです。そのような大切な場面を私に任せていただけることは、とても光栄なことですし、意気に感じます。
 今後も益々パワーアップしてやってまいりますので、みなさまどうぞよろしくお願いいたします!

写真は、朝里岳からみた余市岳です。

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こちらは朝里岳山頂付近です。ふかふかのパウダーがたまりませんね。

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事業承継について講演しました