契約そのものは、口頭の合意のみでも成立します。
ではなぜ契約書を作成するのでしょうか。
それは、
- 業務を遂行するにあたっての行動指針・基準になる
- 裁判での証拠資料になるなど紛争の解決基準になる
- 書面にすることで、合意内容を正確に確定することができ、お互いの解釈、認識の祖語を防ぐことができる
ことなどが挙げられます。
契約書の記載内容が企業の命運を握ることが多々あり、「あの時ちょっと弁護士に相談していれば良かったのに…」という事態の発生はできるだけ避けるべきです。
例えば、物の売買契約や建築請負契約で、目的物の所有権移転時期はいつに設定するでしょうか。貴社が売主や請負人の場合に、もし相手方から代金の支払がなされなかった場合、どうやって債権の回収を図るでしょうか。
所有権の移転時期について、契約書で代金支払時(所有権留保)に所有権が移転するとの記載をしておけば、貴社は目的物を引き揚げることで債権回収を図ることができます。
他方、契約書に、契約書締結時や目的物引渡時などと記載されていれば(何も記載がなければ民法の原則に従い、契約時に所有権が移転します)、相手方に既に引渡しをしてしまった後では任意に目的物を引き揚げることができなくなり、別の手段を使って債権回収を検討することになります。
このように、契約書の記載一つで、事態が大きく変わることがありますので、ご注意下さい。
契約書の作成にあたっては、常日頃から弁護士によるリーガルチェックを受けることをおすすめします。